小森康充 – どの状況でも成果が出せる「真の営業」に必要なこと

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リアル・オンラインなど、どのような状況でも成果を出す

幼い頃から体が弱く勉強もスポーツも苦手、そのうえ口ベタ…。そのような人物が二十数年後、外資系メーカーで常に営業トップクラスの成績を誇り、最優秀マネージャーとしても表彰。さらに二度のヘッドハンティングの度に年俸アップという成功者の道を辿ると誰が想像しただろうか。3社の外資系企業を経て営業力強化コンサルタントとして活躍する小森康充氏が語る、必ず結果が出る営業のロジックとは。

営業に「センス」はいらない

同じ商品を同じ値段で売っても、売上の良い人もいればそうでない人もいる。この差はどこから生まれるのか。P&Gジャパン、日本ロレアル、COACHジャパンと名だたる外資系企業にて、常にトップクラスの成果を叩き出してきた小森康充氏はこう説明する。

「営業に必要なのはセンスでも、年齢でも、経験の豊富さでもありません。結果を出す営業の手法には、実は体系だった『プロセス』と『話法』があります。これを私はP&Gジャパン時代、当時世界ナンバー1だった営業トレーナーに直接教わりました」

それまでの小森氏のやり方は体を壊すほどの根性一辺倒で、成果も安定していなかった。しかし『プロセス』と『話法』のスキルを身につけたことが大きな転機に。体力勝負の根性営業を卒業し、楽しみながら安定した結果を出せるようになったのだ。さらにこのスキルを自身がトレーナーとして他の社員に伝えると、彼らも次々と結果を出せるようになっていったという。

「結果を出すための営業のプロセスとは、着実に信頼関係を構築しながら相手の『心の窓』に応じたアプローチをしていくというものです。第一印象で信頼を獲得し、心の窓を開きながら商談を進め、最適なタイミングで商品説明を行い、堂々とクロージングする。このプロセスに則って進めていくためには、質問の仕方や相槌の打ち方、話の聞き方などの『話法』も重要なスキルになってきます」

多くの人は「まずは商品説明を聞いてもらわなくては」と考え、とにかく自分がリードして喋ろうとしがちだ。しかし小森氏によれば、その方法では「最初からその商品に興味がない人」には響かない。

「相手の話を聞くことに時間を使う方が成約率は上がります。話の流れの中で自然と”たまには他の商品も導入していかないといけないよね”、”あなたの話も聞きたい。実は◯◯のことはよく知らないんだ。ちょっと説明してもらえないかな”と言ってもらうことを目指します。言葉は『発した本人』に最も強く作用します。”買うよ”、”その商品のことを教えて”といった決めゼリフは相手に発してもらいましょう」

学んだだけではただの「知識」

このような『プロセス』と『話法』のスキルに加え、もう1つ必要なものがある。『自分はできる』との自己重要感だ。

「P&Gジャパンに学んだことの1つに『ThinkBig!』という考え方があります。たとえば上司から『新規開拓を10件』のノルマを与えられたとしましょう。多くの人はこの目標に対して”大変だな”、”難しいな”と思いつつなんとか頑張ろうとします。しかし私ならあえて自分の目標を『新規開拓を20件』と公言します」

小森氏がこのような宣言を大言壮語で終わらせずに済んだのは「口に出した手前、やらないと格好がつかない」と必死になり、実現するための方法をなんとしてでも考える姿勢があったからだ。先輩、上司、さらに取引先の人にも「どうしたら実現できるでしょうか」と相談し、可能な限りの手を尽くす。その熱意を感じた周囲の人たちが応援者となり協力してくれることも少なくなかった。

「さすがに20件は難しくても16〜17件はいくんです。10件を目標にしていた人たちは9件か10件で止まってしまう。元のノルマは20件ですから、これで人の1.6倍や1.7倍の成果です。つまりトップ営業になれる」

この例で言えば、小森氏と他の人たちの差は「目標に対する最初の設定値の違い」だ。加えて、『ThinkBig!』をベースにした目標を”自分は達成できる”と信じ切っていたことも大きな差だ。

「最初から”できないかも”と及び腰になると行動する力が生まれにくい。柔道で背負い投げのやり方を学んだとして、”できる”と心から思って手足を動かすのと”できないかも”と思いながら動かすのでは結果は大きく違ってくると思いませんか。やり方を理解しただけではスキルは知識にしかならない。実際の行動と合わさってこそ本当の意味でのスキルになるのです」

実は小森氏も、生まれつきこのようなマインドセットを身につけていたわけではない。幼い頃は体が弱く幼稚園も学校も休みがち。勉強もスポーツも苦手でコンプレックスの塊だった。心配した祖父の勧めで通ったスイミングスクールで平泳ぎに目覚め、中学1年の時に市の大会で入賞したのをきっかけに少しずつ自信を育んでいく。そのなかでも一番影響を受けたのは、大学時代に縁あって所属したボート部での経験。インターハイへの出場経験を持つスーパー選手が数多く所属し、「目指すのは2位3位ではなく日本一」といったレベルの高い世界にカルチャーショックを受けつつも、大きな学びがあった。

「全国レベルでトップを争う人たちは、私とは住む世界が違うと思っていました。しかし、日々一緒に練習を重ねていると、そんなヘラクレスみたいな図体をしている選手が『練習しんどいな、やめたいな」と弱音を吐くこともある。馬鹿みたいな冗談を言ったり、可愛い女の子を追いかけてフラれたりもしている。”スーパーマンみたいな人も、自分と同じ人間なんだな”と気づきました」

“優れた成果を残す人は自分とは違うレベルの人間だ”という思い込みがなくなった瞬間だった。さらに、俳優業に憧れ養成所で演技のレッスンを受ける経験から、”演じることで違う人間になれる”ことにも気づいた。自分で人生の台本とセリフを作りさえすれば、なりたい人になれるのだ。ボート部と演劇での経験が”口下手で笑顔のない小森”から”トップ営業の小森”になるためのマインドセットの下地となった。

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